前口上と「日本語」を考える「新書版」のリスト

前口上
本が好きです。
50年来、集書、ましてや読書、というよりは買書という状態です。
沢山溜まり、ライブラリー・ティー・ルーム、砂がざらつく海の近くに持ちたいと思ってます。民設民営の図書館です。
ブック・カフェといっても良いのですが、そうしたものより、本の比重がもう少し高いもの、カフェでないのは生来コーヒーがよくわからないので、という単純な理由です。
そうした好き勝手な擬似図書館をイメージし、その目録や本棚や特設棚を紹介していきたいと思ってます。
日本語の成立本ー新書篇
今回初回として、「日本語」の成り立ちを考える、ひいては「日本」の成り立ちを考える「日本語本」のうち「新書版」をリストにしました。
「日本語」「日本語教育」関係の本は恐らく本棚2架分くありあり、全部はあまりなので、以下は僕がここ十数年来の興味を抱いてきた、古代、中世、近代の日本、日本語の成立史関連本のexcelリストから新書版のものを抜き出したものです。
「日本語本」に限らず、私のような専門家でない一般人にとって「新書版」は冒険に満ちたものも多く、その心意気を手軽に味わうだけでも、面白く読め、いずれも、すすめられます。
日本語の成立と変遷の三期
私自身の最近の「日本語の成立史」に関する関心は、
①口語言語がマルティリンガルだった時代において中国文字が導入され、社会のヒエラルヒーのトップに書記言語が染み込んでいく「権威的」な古代、
②社会のヒエラルヒーの構造変化と市場の発展によってそうした書記言語が揺れ動きながら「権力的」となっていく中世、
③今日では方言や文語と呼ばれるようになった口語言語と書記言語が「権力的・権威的」に統合されていく近代、
にあり、そうした観点からのリストです。
学校、軍、歌
また、イヴァン・イリイチのような発想も含めて、学校や軍そして歌謡のような「共有」する「場」が「国語」形成に果たした役割も大きいという観点も取り入れています。「共有する場」があっての「共有言語」なのか、「共有言語」があっての「共有する場」なのか、という循環です。
マルティ・カルチャーからモノ・カルチャーへ
いうなれば、ここ百年足らずでこの社会において多様性がどのように潜在化したか、喪われてきたかに関心があり、それに近いものをリストにしました。
三層構造ーかなと漢字と仏典
最近私は、中国語ましてや悉曇語ができないにもかかわらず、悉曇語ー中国語ー日本語と道教/神道∸儒教ー仏教の、それぞれの三層構造を歴史からみようと、リストのような日本語・日本関係のものから東アジア、南アジア社会とアジア宗教へと本の趣味が広がっており、一部そうしたものが入っていますが、とりあえず、ここでは「日本語」本を中心にしました。

001-色の名前で読み解く日本史<中江克己>プレイブックスインテリジェンス
002-歌う国民<渡辺裕>中公新書
003-江戸売り声百景<宮田章司>岩波アクティブ新書
004-江戸語・東京語・標準語<水原明人>講談社現代新書
005-江戸のおしゃべり<渡辺信一郎>平凡新書
006-江戸のことわざ<丹野顯>プレイブックスインテリジェンス
007-江戸の性語辞典<永井義男>朝日新書
008-女ことばと日本語<中村桃子>岩波新書
009-外国語を学ぶための言語の考え方<黒田龍之助>中公新書
010-貝と羊の中国人<加藤徹>新潮新書
011-風の名前 風の四季<半藤一利・荒川博>平凡新書
012-かなづかい入門<白石良夫>平凡社新書
013-かなづかいの歴史<今野真二>中公新書
014-関西弁で愉しむ漢詩<桃白歩実>寺子屋新書
015-漢字と中国人<大島正二>岩波新書
016-漢字と日本語<高島俊男>講談社現代新書
017-漢字と日本人<高島俊男>文春新書
018-漢字に託した「日本の心」<笹原宏之>NHK出版新書
019-漢字の字源<阿辻哲次>講談社現代新書
020-漢字は日本語である<小駒勝美>新潮新書
021-漢詩―美の在りか<松浦友久>岩波新書
022-勘違いの日本語、伝わらない日本語<北原保雄>宝島社新書
023-漢文と東アジア――訓読の文化圏<金文京>岩波新書
024-漢文の素養<加藤徹>光文社新書
025-漢文の素養 誰が日本文化をつくったのか<加藤徹>光文社新書
026-季語の誕生<宮坂静生>岩波新書
027-「汚い」日本語講座<金田一秀穂>新潮新書
028-「君が代少年」を探して―台湾人と日本語教育<村上政彦>平凡社新書
029-教育勅語 昭和天皇の教科書<杉浦重剛>べんせいライブラリー
030-金田一京助と日本語の近代<安田敏明>平凡社新書
031-訓読みのはなし<笹原宏之>光文社新書
032-口のきき方<梶原しげる>新潮新書
033-敬語で解く日本の平等・不平等<浅田秀子>講談社現代新書
034-言語学の教室<西村義樹>中公新書
035-言語の脳科学―脳はどのようにことばを生みだすか <酒井邦嘉>中公新書
036-国語教科書の思想<石原千秋>ちくま新書
037-国語教科書の闇<川島幸希>新潮新書
038-国語審議会─迷走の60年<安田敏朗>講談社現代新書
039-「国語」の近代史 帝国日本と国語学者たち<安田敏朗>中公新書
040-語源を知れば日本語がわかる<柚木利博>ふたばらいふ新書
041-古語の謎―書き替えられる読みと意味<白石良夫>中公新書
042-詩歌の森へ―日本詩へのいざない<芳賀徹>中公新書
043-辞書から消えたことわざ<時田昌瑞>角川SSC新書
044-知って合点 江戸ことば<大野敏明>文春新書
045-常用漢字の事件簿<円満字二郎>生活人新書
046-常用漢字の歴史<今野真二>中公新書
047-女性はどう学んできたか―卑弥呼から江戸庶民の女まで<杉本苑子>集英社新書
048-新聞と現代日本語<金武伸弥>文春新書
049-世界の名前<岩波書店辞典編集部>岩波新書
050-戦中用語集<三國一朗>岩波新書
051-台湾に生きている「日本」<片倉佳史>祥伝社新書
052-タブーの漢字学<阿辻哲次>講談社現代新書
053-近くて遠い中国語―日本人のカンちがい<阿辻哲次>中公新書
054-中国語と近代日本<安藤彦太郎>岩波新書
055-謎だらけの日本語<日本経済新聞社>日経プレミアシリーズ
056-謎の漢字 - 由来と変遷を調べてみれば<笹原宏之>中公新書
057-日本が「神の国」だった時代 国民学校の教科書を読む<入江曜子>岩波新書
058-日本教育史<山住正己>岩波新書
059-日本語が見えると英語も見える―新英語教育論<荒木博之>中公新書
060-日本語全史<沖森卓也>ちくま新書
061-日本語という外国語<荒川洋平>講談社現代新書
062-日本語と韓国語<大野敏明>文春新書
063-日本語と時間――〈時の文法〉をたどる <藤井貞和>岩波新書
064-日本語とハングル<野間秀樹>文春新書
065-日本語の起源を探る コンピュータがはかる「やまとことば」成立のモデル<安本美典>二十一世紀図書館
066-日本語の奇跡 <アイウエオ>と<いろは>の発明<山口謡司>新潮新書
067-日本語の教室<大野晋>岩波新書
068-日本語の近代: はずされた漢語<今野真二>ちくま新書
069-日本語の源流<佐藤美智代>プレイブックスインテリジェンス
070-日本語の古典<山口仲美>岩波新書
071-日本語の「常識」を問う<鈴木貞美>平凡社新書
072-日本語の成立<安本美典>講談社現代新書
073-日本語の森を歩いて フランス語から見た日本語学<F.ドルヌ、小林康夫>講談社現代新書
074-日本語の歴史<山口仲美>岩波新書
075-日本語はどんな言語か<小池清治>ちくま新書
076-日本語は年速一キロで動く<井上史雄>講談社現代新書
077-日本語は亡びない<金谷武洋>ちくま新書
078-日本人も悩む日本語 ことばの誤用はなぜ生まれるのか?<加藤重広>朝日新書
079-日本人のための日本語文法入門<原沢伊都夫>講談社現代新書
080-日本の漢字<笹原宏之>岩波新書
081-日本の戦時下ジョーク集 太平洋戦争篇<早坂隆>中公新書クラレ
082-日本の戦時下ジョーク集 満州事変・日中戦争篇<早坂隆>中公新書クラレ
083-日本文法体系<藤井貞和>ちくま新書
084-百年前の日本語 書きことばが揺れた時代<今野真二>岩波新書
085-部首のはなし―漢字を解剖する<阿辻哲次>中公新書
086-仏教神護50話<興膳宏>岩波新書
087-ぷらり日本全国「語源遺産」の旅<わぐりたかし>中公新書クラレ
088-翻訳と日本の近代<丸山眞男・加藤周一>岩波新書
089-明治の音<内藤高>中公新書
090-ものの言いかた西東<小林隆、澤村美幸>岩波新書
091-訳そうで訳せない日本語 きちんと伝わる英語表現<小松達也>ソフトバンク新書
092-横書き登場<屋名池誠>岩波新書
093-ん―日本語最後の謎に挑む<山口謠司 >新潮新書
以上 2017/08/11

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